その果てと、その始まりと
なかがわひろか

命からがら逃げて参りました
どこにもゆく当てなどはございませんが
走れるだけ走って
時に歩いて、
また走って
ここまで辿り尽きました

しかしここはゴールなのでしょうか
ここが私の行き着く先なのでしょうか
必死で必死で逃げて参りましたが
一体私は何から逃げているのでしょうか

もう体は動きませぬ
もう喉も枯れ果ててしまいました
もはや立つことも出来ないでしょう
私はまだ逃げなければならないのでしょうか

なんだか足音が聞こえて参ります
これは恐怖の音なのでしょうか
それとも恋人に会いに行く
愛しさに満ちた足音なのでしょうか

それでも私はまた逃げるしかないのでしょう
正体を知るのが怖いのです
もしも私を追ってくる物かと思うと
怖くて怖くて仕方がないのです

また果てのない逃亡が始まります
またどこかでお会いできますよう
お祈り申し上げます

(「その果てと、その始まりと」)


自由詩 その果てと、その始まりと Copyright なかがわひろか 2006-11-16 01:23:16
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