with
霜天
今だってこんなふうに並列される風景だから
昔はもっと、単純だったように思う
思い出したいことは泡に溶けていくように
雨よりも深いところで打たれてみたり
風に引かれていく後ろ髪だったり
深呼吸を繰り返さなければ破裂しそうな
涙も遠退いていきそうな生き方を、してみる
誰があるようで、誰もないような
梯子の掛け方を僕は知っている
伝えたいのは多分、そういうところで
広がる窓の両手を真似て、今だってこんなふうに
知らん顔で橋を渡っていく君を
呼び止める手はいつも、待ち焦がれている
重ね着をしたい、冬が近い、
もうすぐ空の交差する、朝がやってくる