光りの届く場所へ
山崎 風雅
ここは北窓で
日の光は入らない
暗闇で飼い猫のニンが目を光らせて泣いている
腹が減ったのか?
お前はよく食うな
今の天気はどうだろう?
一日中暗い部屋では天気が分からない
それでも慣れた
ここの暮しも悪くない
向いのお爺さんはいつも天気の話をして
趣味で撮った写真を披露してくれる
上の階に住んでる中国人は
土曜日になると酒に誘ってくれる
角のタバコ屋のおばさんは
気の利いた洒落で心をほぐしてくれる
なによりも君がこの街に引っ越してくれた
さぁ行こう
光りの届く場所へ