横顔
カンチェルスキス




 なくすものが
 あったらいいのにと
 おまえは呟いた。


 よそ見してる
 おまえの腕を
 俺はひき千切ろう。



 そしておまえは
 俺を失い
 長い夜の終わりに
 口づけをする。



 飛行機が
 落ちるのを見た。
 大きな煙が上がり
 変わらず俺は
 そこに立っていた。


 砂漠だった。
 人魚が干からびていた。


 何もなかった。


 目の前には
 何もなかった。
 後ろはもう確かめていた。
 何もなかった。



 天気はよかった。
 曇り空だった。



 世界を半分割って
 フラスコの中に入れる。
 ピンクの泡が
 たまる。



 足のないこどもの
 寂しげな目を
 俺は手に入れた。



 フライパンに 
 卵を一つ割って
 これから何が起きるか
 じっと見ている。


 


自由詩 横顔 Copyright カンチェルスキス 2004-03-24 14:44:10
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