鮫薬
よつやとうじ

つぐみ死ぬ
草むらで
黒いちょうちょを
舞いあげた
あのひ粗末な
ひらひら風

薄暗さの
まっただなかは
ふたりの音で
冷たかったと
つまさきまで
覚えていて

十一月の原形を
留めている
あのひと歯並び
きれいだったよ

わたしは
全霊も約束も
置き去りにして
つんとすねたまま
良薬をひと飲み

つのる不機嫌に
背を向けながら
この世のものとか
上品な生なんかもぜんぶ
蹴飛ばせるように
なっていくのです


自由詩 鮫薬 Copyright よつやとうじ 2004-03-24 04:19:21
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