走光性
北野つづみ

憧れはわたしに
足りないものを教えてくれるけれど
足りないものを足す方法は
教えてくれない

どんな大人になったらいいかを
わたしは知らなくて
憧れる人はいたけれど
どんなに頑張っても
その人のようにはなれなかった

あなたはあなたらしく咲けばいいの
気安く他人は云うけれど
わたしはわたしという花の
花びらの色もまだ知らない
蕾みのまま枯れてしまいそう
(それとも蕾みを持ってたかしら)
不安を両腕に抱えたまま
それでも朝になれば
光に向かって一日を始める

すべての花は植物は
光に向かって伸びてゆく
小さな羽虫も蛾も蝶も
光に向かって飛んでゆく
その性質が
わたしの中にもあるらしい

たどり着く
場所のことさえ良く知らないのに

2006.9.20


自由詩 走光性 Copyright 北野つづみ 2006-11-13 14:43:45
notebook Home 戻る