「 あたしのあだしのくん、二。 」
PULL.
あたしとあだしのくんは、
大恋愛の末に結ばれた。
はじめて、
あだしのくんに告白されたとき、
あたしは別の人と付き合っていた。
一年後、
またあだしのくんに告白された。
あたしはまだ別の人と付き合っていた。
もう一年後、
あだしのくんには付き合っている人がいた。
あたしはあだしのくんを奪いに行った。
はじめて告白されたときから、
ずっとそうしたかった。
だけどできなかった。
あたしとあだしのくんは、
あまりにも違いすぎたから。
あたしのまわりも、
あだしのくんのまわりも、
みんな反対したけれど、
もうどうにもならなかった。
あたしとあだしのくんは、
出逢ってしまったのだ。
それからずっと一緒にいる。
あたしはあだしのくんのあたしで、
あだしのくんはあたしのあだしのくんだ。
あたしとあだしのくんは、
そんなふたりだ。
了。