夜道のふたり 
服部 剛

夜遅く 
街灯の淡い光に照らされ 
家へと続く道に伸びる 
老夫婦の影 

互いの腕を組み 
びっこをひいて 
揺れている 

( 街路樹の枝に結ばれた、赤い風船 ) 

老夫婦の後ろ姿が 
枝の下を通り過ぎ 
下りの階段にさしかかる 

道の背後で見ていた僕は 
足が悪いふたりの間に入り 
みっつの影を並べ 
共に歩きたかった 


街灯の傍らで僕は 
いつまでも、立ち止まっていた。 


ふたりの影が
階段の下に、消える。 


( 夜空に舞い上がる、赤い風船 )





自由詩 夜道のふたり  Copyright 服部 剛 2006-11-12 02:12:20
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