すいっち
アンテ

なにかがうごきだすとき
すいっち
のおとがきこえると
ほっとした
とてもとおくで
かすかに
かちっ
おとがして
そうするとあとは
まえにすすむだけでよかった
そのつみかさねが
いまいるばしょ
だとしんじていればよかった

きれいなもの
たいせつなこと
をてにいれるたび
ばらばらにしてたしかめた
もとにもどせなくなるまで
さがしても
すいっちはみつからなくて
きっと
なにげないばしょにひそんでいるのだろうか
みのまわりを
てっていてきにはかいして
いばしょがなくなって
でも
どこにもみつからなくて

びんにいれておけば
びーだまは
えいえんになくならない
そんなせかいにうまれればよかった
さんそをすって
にさんかたんそをはく
かんたんなるーる
みぎあしのつぎはひだりあし
でも
じゃあ
すいっちをいれてくれたのは
だれなのだろう
それはほんとうに
わたしのためのすいっち
だったのだろうか

ときどきひとりごとをいうよね
してきされたことがある
ためしに
れこーだをもちあるくうち
はんめいした
なんどききかえしても
それはたしかに
わたしのこえだった
かちっ
それはまぎれもなく
すいっち
のおとだった

でんしゃのどあがひとのかおにみえる
といったらわらわれた
えきにつくたび
どあはじどうでひらくし
げんりなんてだれもきにもとめない
ありがとう
かおはにっこりとわらって
わたしをとおしてくれる
わたしはえきにおりたつ
なにかがうごきだすしゅんかん
だけをとくべつあつかいするなんて
ばかげている
あーあー
はっせいれんしゅう
わたしはどこへむかっているのだろう
すいっち
よりもさきに
みつけるべきことがある







自由詩 すいっち Copyright アンテ 2006-11-12 01:35:45
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