ミルククラウン
三条麗菜

一人でいる寒い夜は
温かいミルクを飲みます

スプーンで雫を落とすと
ミルククラウンができるのですが
それがあまりに一瞬のことなので
私には何も見えません

あなたがそこに
いれくれたらね

あなたがもしもそこにいて
スプーンから一滴の
ミルクの雫を落としたなら
私は絶対に見逃さないのに
あなたのどんな小さなことも
みんな覚えていたいのだから
私はきっとミルククラウンを
はっきり見ることができるでしょう
あなたの作る王冠はきっと
金銀が散りばめられていて
無数の宝石がキラキラと
輝いていることでしょう

……なんてそれは
あまりにきれいすぎる話だな
私は一人で苦笑い

一人でいる寒い夜は
温かいミルクを飲みます

そして涙の雫でできた
小さなミルククラウンを
飾ります


自由詩 ミルククラウン Copyright 三条麗菜 2006-11-11 22:51:34
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