子持ちパンク
水在らあらあ






子持ちパンクは二十歳になるところで
子持ちパンクはマリアって言うありふれた名前で
子持ちパンクはもう刺青がきらいで
子持ちパンクはお菓子の刺青シールが好きで
子持ちパンクは海からは何かしとめないと上がってこない

子持ちパンクは最近空手やってて
それで俺と知り合いになったときには
子持ちだともパンクだとも
まあきれいな
それはきれいな女の子で

だって十九だぜ
そばかすなんて気にしないんだぜ
なあマリア なぜそんなにパンクなくせに
俺のキプロスの嫁と一緒の名前なんだ

錆付いたナイフで観光客脅して
背中の蝶々は何を目指して飛ぶの
俺の翼と一緒さ
白くしようとして黒くなっちまった

パンクなくせにくちづけは甘くて
サーカスに入るんだって
おまえのつけたロッドの火は
俺の心で
音を立てて消えた

旧市街の広場で
おまえとおまえの三歳になる娘が
七色のスーパーボールで
キャッチボールするから
破れたスカートが
ひるがえって
ひるがえって

冷え切った
午後の陽射しに
冷え切った
冬の午後の陽射しに

喧騒と
食器の音と
子供の声と
大人の会話

私の国はね
政府がだめでね
私もだめだけど
この子は
この子だけは




果てしなく 失ってゆく だれもかれも
果てしなく 愛を望む  だれもかれも

午後の冷たい日差しの中で











自由詩 子持ちパンク Copyright 水在らあらあ 2006-11-11 05:47:48
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