ピエロのハンカチ 
服部 剛

ピエロは
いつも装っていた 
彼のまわりには 
いつも明るい日向ひなたがあるように  

ピエロは 
どうでもよかった 
彼のことを 
まわりの人々がどう言おうと 

ピエロは 
いつもポケットに入れていた 
色褪せた涙色のハンカチだけが 
彼の寂しさを知る友達だった 


夕暮れに 
誰からもうらやましがられる 
ほがらかな笑顔で 
日々出逢う友に 
分かれ道で手を振って 

ましろい満月が 
眠れる世界を淡く照らす夜 
気がつくと
いつもの闇に
ピエロは包まれる 


( うっすらと鏡に映る 
( 日中の化粧を落とした 
( 人知れぬピエロの素顔 


ポケットから取り出し 
手のひらの上にのせたハンカチ 

闇に浮き おぼろに光る 涙の色 





自由詩 ピエロのハンカチ  Copyright 服部 剛 2006-11-07 18:55:14
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