★49 ボクノスキナイケ
貴水 水海

僕は好きな池のほとりに

一人たたずむ

その昔

美しき姫が祈りを捧げた池

氷の花を咲かせ

冷たく微笑む

心痛めた者だけが

その冷たい微笑の奥に咲く

優しき花を見る

墨絵のごとき世界は

やがて緑となる

その昔

美しき姫が祈りを捧げた池

氷の柱は

心地よく人の心を貫く

僕は

この池で凍ってしまいたいと

来たけれど

お前は僕の心の底に

「生」を見たのだね

墨絵のごとき世界は

やがて緑となる

冷たく妖しきその美しさを

冬と共に封じる

僕の孤独も悲しみも

冬と共に封じる


自由詩 ★49 ボクノスキナイケ Copyright 貴水 水海 2004-03-23 01:02:02
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