「 中年宙返り。 」
PULL.







ひさしぶりの宙返りで見た地面はこんなにも近くて、
しっぱい。

しょっぱい涙も出ないね。
言われちゃう。
「あんたそれでも元体操部?。」






はらほろひれはれ流れ星にお願い。
いたいのいたいのとんでゆけ。






跳び箱を跳ぶように寄る年波を跳んで跳んで廻ってからまわり。




大車輪のように働けど働けど着地点が見つからない。
Y字バランスのように危うい均衡で上に下にと目配りを。




見せしめに吊し上げられ前振り上がり脚前挙支持を取り付ける。






平均台上のアリアを気取ってみても、
「あんたそれ女子の種目。」

交わらない平行棒。
きみとぼく。
だから今夜モリスエを決める。








でんぐり返りするほどに謝って後転倒立。
あっかんべー。












           了。



短歌 「 中年宙返り。 」 Copyright PULL. 2006-11-07 15:37:50
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