液全体
黒川排除 (oldsoup)

土砂と分かつ孤独をヘリが迎えにくる

雪に焼かれて木々まっ白に背骨

業に似て四ツ首・三脚・胸に目ひらく

あとは原子炉までずっと下り坂

今日は石碑が北にあるから日影はないです

ずっと一日の工場で金色の菓子くばる

密閉された容器の中から溶岩見ている

気配尽きて絵皿に毒を盛り直す

包丁持つ本当は鞠が欲しかった

風の成立拒む光で霞む河川敷

今晩きれいな真空に戦ぐ留守になる

海に身を投げた手と同じ手をもらいうける

飛来する一滴の泥が蝶の対価

生後の長い長い沈黙の後に殻を踏む

一撃の余力を残す影をもつ

一切の感謝を拒否する祭りの無言

まるい壁転がしている閉じこもる場所まで

空き家の主人とおぼしき霧に最敬礼

砂場の砂こぼれて崖下の球根ひらく

暗い部屋で家具の背丈が伸びてくる


川柳 液全体 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2006-11-04 06:35:42
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