しのれきしをあたらしくつくるために、または「ことしいちばんさみしかったこと」の国際的な変奏
イダヅカマコト

しがうまれたころから

ぼくらのことばはこきゃくだいいち

あまごいしてあめがふらなければ

ぼくらはころされてきたのだから

いちばんゆうめいなひとのなまえくらいしってくれなきゃ

おまじないすらとなえることができない

「たにかわしゅんたろう、だれ、それ?」

「それきっとしじんだよ、あたしほんけっこうよむもの」

ってくらい

人はしをしらないでいられる日本は

もうすでに国民的なしじんということばをひつようとしていないということ

国から石をなげられるのは

フランスW杯で成田空港で卵を投げつけられた城にあるのであって

ことばにはない

ドーハからはサッカーをしとよぶべきだった

そしたら日韓共催サッカーW杯は

日韓共催ポエトリーワールドカップ

そしてサッカーはJリーグ

この国のこどもたちはサッカーを踏み台にしてしへかけあがる

それはもう古代ギリシャのオリンピック

日本代表は裸でピッチを駆け巡り

手術跡の残る腰をあらわに俊輔が左足を蹴り上げる

体中さらけださなければならないのだから

日本人選手のフィジカルも解決する

代表になれば飽きるほどはだかを見れるのだから

Jリーグを追いかける女の子の目もぎらぎらする

100年とは言わない

12年後

美しい身体で世界一になった美しい国日本に

まだ国語という授業がのこっているのなら

そこからまた、英語のポエムを日本語にもどすことができるだろう

「ことばでしをかいていたひとたちは、むずかしい日本語を使って、しを詩人のものにしようとしたから口ごとけりとばされたんだ」

から始まる日本の足を使ったしが世界一になるまでのストーリーは

新しい始まりとして悪くない

獲られた言葉を奪い返すためにいまからパルチザンを始めよう

これでやっと俺たちにしを書く理由ができたんだから、さ


自由詩 しのれきしをあたらしくつくるために、または「ことしいちばんさみしかったこと」の国際的な変奏 Copyright イダヅカマコト 2006-11-03 11:03:32
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