午後の空室
あおば

ごごっ!

大きな声で吠えたんだ
犬の
コロちゃんのような
声だから
声だから
午後の声だから
空間に消えるのだ
周波の跡を手探りで追って行く
空間だから
届かない
波の無い空間だから
手探りで追って行く
光のない空は
当然のように
真っ暗で
頭のてっぺんから
星のような
輝きが走る
神経が生み出した星形の燦めき
くるくると回る
扇形の軌跡が
公孫樹の並木道に堆積して
空室へ誘導してくれたのに
空の果てから反射して届いたのは
ちっぽけな
僕だけの悲しみ


自由詩 午後の空室 Copyright あおば 2006-11-03 00:58:26
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