上履きの少女
ささやま ひろ
葉っぱが舞う校庭
都心の小学校
少女は
アーバンコートの校庭に
いつも上履きで駆け出し
そして遊んだ
外履きに履き替えるのは
校庭の隅にある「自然園」に入る時だけ
自然はある意味イミテーションで
夜空はいつも明るかった
23年経って訪れた今日
多少色褪せててはいても
アーバンコートの校庭は今も変わらず
あの日のまま
転校して
土の校庭に上履きで飛び出して
先生や友達に怒られて
ちょっとした習慣や言動に
みんなから距離を置かれたりして
それでも仲のいい友達も出来たりして
上履きの世界が少しだけ遠のいて
人影のない都会の小学校で
そんな昔話を聞きながら
僕は
時間を超えて
そっと靴を脱ぎ
校庭に飛び出してきた君を
両手いっぱいに抱きしめる