Kiss
ふるる

列車を降りて
たどりついたのは
ごく細い町

雨は熟しているのに
建物はアイス・バーみたいなんだ

ホテルのベッドで
ゆっくりとくたばっていく

眠ればプール
      夢の中でプール

チョコレート色の馬がいる

花が(    )としゃべる

ああそんなとききみと

いつかみたいに

オーブンを一緒に覗き込みたい

ぷっくり焼けるチョコケーキ

あかあか火照る僕らの顔・・・・


    プールでは泳ぎの練習

    怖がらないで顔をつけて

    キックキックキック。


もう朝方かな

アイス・バーはよく冷えている
踏み切りはかかしみたいにバタンと倒れ
列車が背骨をこきんこきん鳴らしながら過ぎる

雨は発酵して
ごく細い町を
何とか立っていられるようにしてやっているんだ


    プールでは泳ぎの練習

    怖がらないで顔をつけて

    キックキックキック。


心配ないよ

溺れない


薄目を開けると

チョコレート色の馬は溶けて

花が()としゃべる

ああそんなとききみと

人工呼吸めいた
キスだけがしたい


自由詩 Kiss Copyright ふるる 2006-10-31 15:00:12
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□□□抒情詩っぽい□□□