わすれもの
とうどうせいら


風船が
高い木の枝にひっかかり
君が
届かないって言って泣くから
わたし
よじ登って
取りに行ってきたのに

帰ってきたら
君はいないの

いつまで待っても
もう
取りに来たりなんかしない
違う風船が
飛んで行ったって言って
今ごろ 誰かに
また泣きついてるんだ

ヘリウムガスが
抜けていく
風船
でも
最初はちゃんと
生まれた意味があった

ねえ風船
わたしが
抱いててあげるから
怖がらないで
いいんだよ
 
 
 


自由詩 わすれもの Copyright とうどうせいら 2006-10-30 00:12:34
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