刻印
アマル・シャタカ

楔形文字で時を刻んでみた
シュメール人ではなかったことに気がついた
なので
時を楔形にすることに決めたが
そもそも見えるものでないことに気がついた
亀の甲羅に刻んでもみたが
鼈甲の髪飾りにしたほうが喜ばれた
インカ人のように紐で表そうとして
私は時に縛られるだけだった
どうせなら
誰かの思いに縛られるほうがよかった

玉葱やキャベツを上手に刻むには
多少の修練は必要になる
しかし勝手に私は刻まれて
上手いの下手の関係なく
速さだけが加速していく
君を心に刻もうとして
君もろとも私の心も刻まれた
陽の目盛が一つ
月の目盛が一つ
そのつど私は刻まれるけれど
君の心に
私が刻まれることはない


自由詩 刻印 Copyright アマル・シャタカ 2006-10-29 12:40:28
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