波音
れるむ

昼間の熱気を忘れさせた
この静かな夜に
懐かしい音を聞いた

吹き抜ける風とともに
時間が意識を
失っていくようだ

波の音は止まることなく流れ続け
私だけを孤独にさせた

あのときの笑顔が 
あぁ
蜃気楼のように
ぼやけて消えていく

此処にいることの不条理が
次第に溶けていく

頭が真っ白になる刹那
時間は意識を取り戻した

橋の上で膝をついていた
私の横に一匹の猫がいた

「少しの間ドライブでも
付き合ってくれないか」


自由詩 波音 Copyright れるむ 2006-10-28 04:43:53
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