初恋
長月 猫

ふとしたきっかけからの君との再会

君は僕を覚えているかい?

僕は一時として君を忘れたことなんてない

君と過ごしたあの日々を

君が見せたあの笑顔を

でもそれは……

忘れられないのは哀しい痕

あの日

あの時

何故君に言うことができなかったのか

たった二文字の言葉が

盆からこぼれた水は継ぎ足すことはできても

こぼれ落ちた水を戻すことが出来ないように

時の事象もまた戻すことは出来ない

しかし

頭で解っていても心が納得していない

今君は隣にいて微笑んでくれていて

僕も笑ってはいるが

頭の中にはあの頃の事ばかり

もう消えてしまっていたと思っていた火が

また燻りはじめる

が、すぐに消すことができた

自分の心に礑ケリをつけた

哀しい痕はまだ痛む

それでも前に進もう

哀しい痕は隠したから……


自由詩 初恋 Copyright 長月 猫 2004-03-20 11:48:18
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