助走
山崎 風雅


 遠い宇宙の彼方から
 地上に穏やかに落ちてくる夜なべ

 静かに皆は眠りについて
 昼の喧騒を冷ましている

 艶やかな青紫の中で
 輝く笑顔を自分の胸の中で探してみる

 孤独は狭い部屋の壁の中で反響し
 身体はバラバラに解体される

 進むことが善ならば
 退くことは悪なのか

 高く遠くに飛ぶためには
 長く助走をとった方がいい

 過去なんて自分の胸のキャンパスで
 どんな色にも彩色できる

 だから
 泣かないで
 嘆かないで
 死なないで

 僕を待ってる人がいる限り
 胸の中の方位磁石を手がかりに
 明日への旅に出てみよう

 僕は一人では生きていけない
 一匹の哺乳類

 真夜中の妄想
 世界の彼方まで飛んでいけ




自由詩 助走 Copyright 山崎 風雅 2006-10-28 01:42:20
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