50、煙 【けむり】
雨宮 之人

ゆらり 細く立ち昇る
すすけた灰色の煙突から
青い空へ溶けていく
風向きは 西から東

よく わからないものへ
もう 手の届かないところへ
貴方のカタチが なくなって
粉だけになって しまうなんて

煙は貴方の、何なのだろう
唯物論が幸福なんて、嗚呼
そんなはず、ないだろう!

沁みたわけでもないのに
鼻の奥がツンとする
仕方がないからずっと 空を見つめて、生きているのさ


自由詩 50、煙 【けむり】 Copyright 雨宮 之人 2006-10-27 03:25:41
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