輪廻
海月

遠くで犬が吠えている

冷たい雨が降り続く中で傘も差さずに
僕は何処に向かう訳でもなく歩く

季節外れの桜は花弁の代わりに葉を落とす

認めずに生きようとする自分の愚かさに気づく
格好ばかり気にしすぎている
だから、内面は儚く脆い

遠くもないかと言え近くもない
その狭間で揺れ動く感情は馬鹿らしく思え
僕は人の形をした機械仕掛けの人と化す

綺麗や可愛いなどは一瞬の形でしかない
口説き詞ほどに意味のないものはない

歯車は老朽化による被害を受けて
回る速度を遅めてもなお回る
絡まり合うのは人の性
撫で合うのが人の性

理性と知性を兼ね揃えた
恐ろしく愚かな生物でしかない
自分達のルールは世の為になると考えている
他の生物を守るルールを考える癖に
到って単純に生物を殺す

何の為にその犬は吠えるのだろう
鎖で首を繋がれて
自由の手前でオアズケ

冷たい雨の中で僕は静かに眠りにつく
僕は何処へ行くのだろう


自由詩 輪廻 Copyright 海月 2006-10-25 23:27:15
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