心象探訪
佐野権太

見渡せば、あかのパノラマ
岩肌の背を辿り
風紋の営みに耳を澄ませば
褐色の陰影、陽炎の揺らぎ

彷徨えば、蒼のカルデラ
火照った靴を脱ぎ
静寂の層流にくるぶしを垂らせば
藍の魚影、膨らんで、ゆらり

地溝の淵に咲く花より
漏れ出ずる泡沫ほうまつ
微かな息吹に寄り添い
細すぎる指先を伸ばす

目蓋を閉じ、鼓膜をゆだね 遠ざけたはずの純朴を探る
彼方より、草色の篠笛しのぶえ こころの唄を口ずさむ


自由詩 心象探訪 Copyright 佐野権太 2006-10-25 17:25:44
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