水底の杖
atsuchan69

湖面に幽かな波紋をのこして沈む
かたちなき夜の杖が
 ことばもなく

彷徨う声の虚しさに散らばる
 沈黙の
  ただ拡がるばかりの濡羽色の森は、
   音もなくざわめき
    漂う、
     静寂なけわいを破る 
  命の「鼓動。

    生きる、
   そのことが黒い祭司たちの韻律を壊し、
    酷く怪訝なカオで覗かれる、
     荒らな小部屋。

        「あはあ、あはあ
          と、剥きだしの、
           反復する声・・・・
            淫らな褥(しとね)に

           情欲の吐息に揺らぐ
          許されざる(u)戒律者の、
 掟――

         その言い尽くせぬ卑語のまえに崩れ去る
        あまたの美に等しく
       つかの間の権威と倫理に
                   跪く、
                      愚者。

  移ろう虹の模様の「儚い皮膜が一瞬に消える、闇 )))

 夜もすがらの愛に艶やかに光る、

 残された粘液の轍
  帳(とばり)に覆われた肉体の叫び、
   歓びの声は 嗚呼」。
       呪われた軌跡ゆえ

        永劫に封印され、
            水底に沈む









自由詩 水底の杖 Copyright atsuchan69 2006-10-25 00:26:13
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