「 月 日の日記」
佐々木月奈
風が吹いたら草が笑った
草が笑って悲しくなった
今日来た手紙の文字がぼやけて見えたのは
視力が下がったからではないはずであった。
涙だ。
紛れもない、涙だ。
涙は乾き、元に
戻るのです
自分はただ、月を退かした平和な朝だけを乞うのです。
あの娘がくれた四角いキャラメルが
いつかアジアの地上で溶けてしまうことを
あの娘は知って居たのでしょう
あの日見ていたのは
まぎれもない
笑顔だったでしょう
あの日僕にくれたのは
まぎれもない
愛だった
青い空をこんなにも憎いと思ったのは
生まれてこのかた
初めてです。