山栗
杉菜 晃




毬栗が黄緑色に膨らんで

山の稜線を彩つてゐる

棘の一本一本は張りつめても

刺々しさはなく

光と風と大気に丸く包み込まれて

和んでさへゐる

さうしてなほも膨らんでくる

未来の充実を

腕のやうな細い枝に抱へて

差し出してゐる



     


自由詩 山栗 Copyright 杉菜 晃 2006-10-23 07:53:43
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