土星から放つ紙飛行機
山崎 風雅

 
 街灯ともる裏通りを一人で歩けば
 時折窓越しに明かりが灯る部屋がある
 それぞれの生き様
 それぞれのステージ
 
 未来に向けて蓄える夜の宴
 近づいてはならぬサンクチュアリ
 後戻りできないのが世の掟なら
 アクセルを全開にして高速に飛び乗ろう

 バラバラのベクトルは
 僕の脳髄を通過し
 やがて広い海原に放出される

 見てはならぬものを見てしまった悲哀が
 この胸に刺さっているのだから
 せめて刹那の快楽よ我が身に来れ

 昼と夜をつなぐ綱渡り
 いつも胸に添えているローズの香りの思い出
 ただ守るだけで一日が過ぎて狼狽
 見果てぬ夢は夢のままで

 心無き者にも宿る魂は
 そんなに僕らと変らぬはず
 目に映る景色がちょっと斜めに見えるだけ

 つながる糸の先に誰が待ってる
 今日も届かなかった銀色の約束
 輝く夜空は僕を異次元にいざなう

 始発の電車が走るころ
 僕は土星の輪のに乗りながら
 紙飛行機を銀河にとばしてるんだろうな



自由詩 土星から放つ紙飛行機 Copyright 山崎 風雅 2006-10-23 02:35:40
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