たいよう の 種
Lucy.M.千鶴

牛乳おじさんは

ラジオ体操のおわった朝
ときおり

虫の幼虫や
脱皮したばかりの
透明な羽のせみ を
ぼくたちに 見せてくれた

ある朝

牛乳おじさんは
学校なんて つまんない
そう 思ってた ぼくに

「手を出してごらん」
「たいよう の 種だよ」

ぼくは
たいよう の 種を 蒔いた

そうして
大切に 育てた

牛乳おじさんは 云った

芽が出るのは
ずっと 先かも知れないよ

ほんとうに 長かったけど
楽しかった

芽は出たよ

そうして

花も咲いた



わしはもう 70の じいさん だが

まだ、まだ、
花を咲かせたいから

どんな 花かは

ないしょ じゃよ・・・


自由詩 たいよう の 種 Copyright Lucy.M.千鶴 2006-10-20 20:56:43
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