たいよう の 種
Lucy.M.千鶴
牛乳おじさんは
ラジオ体操のおわった朝
ときおり
虫の幼虫や
脱皮したばかりの
透明な羽のせみ を
ぼくたちに 見せてくれた
ある朝
牛乳おじさんは
学校なんて つまんない
そう 思ってた ぼくに
「手を出してごらん」
「たいよう の 種だよ」
ぼくは
たいよう の 種を 蒔いた
そうして
大切に 育てた
牛乳おじさんは 云った
芽が出るのは
ずっと 先かも知れないよ
ほんとうに 長かったけど
楽しかった
芽は出たよ
そうして
花も咲いた
わしはもう 70の じいさん だが
まだ、まだ、
花を咲かせたいから
どんな 花かは
ないしょ じゃよ・・・