作業上の愛
クリ

 ●砂上の愛

「できちゃったの」
「じゃあ、愛しあってることにしよう」
おおきいにんげんの明日は
ちいさいにんげんが掌握する。
いくつかの理由で。
だからちいさいにんげんが
おおきくなってしまった時
積み上げたものは冷たく崩れ去る。


 ●市場の愛

「永遠に、君を離さない」
「1時間だけでいいわよ」
需要と供給の交わる点は
滋養と強壮でまぐわう点
だったのか。
平行線はいくら「延長」しても
交わることはないけれど。


 ●素性の愛

相手の家柄と
愛情は比例する

ように見える。


 ●施錠の愛

満ち足りた午後など一度もなかった
君が傍にいるのに寂しくて
もっと明るい陽差しがあったはずだと
思わずにいられなかった

淋しくない夜など一度も過ごせなかった
君を抱き締めてから、それから
夢の終わりに値するのは目覚めだけ?
ああ君が僕を淋しくさせたのかい?

ある日
愛が黄金(きん)になって、テーブルの上に置かれていた
これこそ永遠の愛だと
信じないことは難しかった
目でその輝きのわかる愛
手で暖かさの計れる愛

その日、僕は
愛を箱に入れて鍵をかけた
誰かに盗まれるのを恐れて
とくに君を恐れて


 ●俎上の愛

自主規制。


                   Kuri, Kipple : 2004.03.16(一部1984.02.20!)


未詩・独白 作業上の愛 Copyright クリ 2004-03-18 22:36:40
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