白いドレスの夜
石瀬琳々

風が吹いている
この胸をくすぐるように
どこか時の蒼い彼方から
やわらかなレースのカーテンを抜けて
あなたは夜へと駆け出してゆく
裸のつま先で踊るピエレット
夜露に濡れた草を踏みしめて
星明りに揺れるその後ろ影
白いドレスの裾をひるがえし


愛する心は草に隠れ咲く花
今は夜に抱かれて眠る
さあ まつ毛を伏せて
あの丘の彼方へ
あなたをいざなうポプラの木陰に
風は待つ やさしい歌をくちずさみ
風は待つ 憧れにうちふるえながら
夢は今宵翼のかわりに
白いドレスの裾をひるがえし


自由詩 白いドレスの夜 Copyright 石瀬琳々 2006-10-20 16:08:42
notebook Home 戻る