√マングローブに刻まれた”我是一隻妓” 〜僕と酢蛸の七拍子〜
人間

 ●ひい『切ればみんながついてくる』


新木場綾之子(以下S)「雑木林を切りますよね、すると抗癌剤が売れます」
真下草継(以下M)「火の無い所に限って煙が立つ(笑」
S「それは煙がみんなを遊ばせるからです」
M「みんなが伐採の為に行列します。だから切ります」
S「切ればみんながついてくる」

或る日の僕は、新しい書類で右手薬指を切ってしまいました。
それは、
自分以外の全ての人間が成功している世界、
あるいは、
失敗している全ての人間が自分である世界、
想像上の。
どちらでも同じ。

S「その際、乱闘とコントル・アタックを野生に還して」
M「一寸待って。それは、早計では?」
S「あ、ごめんなさい、あたしったら、はしたない・・・」

*『虚実を一緒に洗濯してはいけませんシュビドゥビドゥバ』




 ●ふう『箇条書き添い寝』


以下、”√マングローブ”についての考察。

・浮力を持たない種子は遠くに行けない、それはガソリンに植林されたマングローブの話。

・向上心も無い人間は腐って海へれ滲む、致死量のホウ酸にリンチを喰らう。

・獅子舞を脱ぎ捨てて「売れてる奴ら皆死ね!」と曰く、傍若無人な支柱根は水色。

・浮力を持たない彼は自然界では落伍者であったがクラスでは浮いていた。

・5時間の遠足、脳足りんのヤエヤマヒルギ、ピンク色の人影、夕暮れ報われない。

・他人の頭蓋骨に足を突っ込んで上に行く時間、処世の地層に根付く怨恨が吸う澱粉、これで3分。

・気力だけ空回る火の車、拘束道路に縛りつけられて両脇を走る車のヒッチコックとヒッチハイク。

・銀窓の少女が肉屋のように身からグルコース100g98円で売りさばく様子を盗撮する私服警察官。

・一方、浮力の足りない者は水面に向かって沈みながら世界に見捨てられていく。

・ぬかるむ子音、思春期の領収書、可愛い鉄格子に許されぬブーケガルニ、かける2の二乗で死。


―まとめ―
稼動すると憂鬱になる根が底部、荒くて蝶々千切れる。




 ●みい『油備考、来る欲』


寝ている間に野生の乱数サイに乗って何処か知らない場所に連れ去って、
刑法第√条第壱項「駆落罪」により右手薬指の爪から正しくなりたい。

蚊帳を押す風力で五百八拾二本木に引っ越したい。
純正調音律から奴隷蟻関数をソロバンだけで導き出したい。
真っ黒なシダ植物と布団の中で朝まで大喜利したい。
おはぎを投げる婆(通称「ハギ投げ婆」)を鬼太郎の曾孫に紹介したい。
血管のような線香に火を付けて白煙の中で番いの猿になりたい。
生コンクリートに残った300の足跡でババロアを作って防衛庁に貼り付けたい。
AからBまでの距離と0から1までの距離を修飾語にして軒先に干したい。
相互絞首心中未遂で翌日未明に発見されたい。
オッカム社製の剃刀でオポッサムの頬っぺたを剃って熱烈なチッスをしたい。
蟠りの巣で近親相姦するカッコウの雛にフィボナッチ数列で織った着物を着せたい。


僕は「私は一匹の売女です」を探したい。
そして、
ガソリンによく漬したヤエヤマヒルギを着て出掛けよう。(注・火気厳禁)




 ●よお『don't stop 解』


例題一・正しい番号を選択しなさい。

1.行きつけの喫茶店のコーヒーに浮いていた土座衛門
「あの、すみません、交換して貰えますか」
「嗚呼申し訳御座いません今すぐに」

2.粉っぽいスーパーの店員の肩に座る雌のプルトニウム
「スプーンはいくつお付けしますか?」
「半分」

3.ある”光は何故その場所について知っているか?”という名の男の一生涯

問題に答えれば、そこが致命的な出生地になる。
絞られた野鼠の油で世の中は潤滑しているから、
卵の殻を内側から突くような話術が足並みになって、
猥雑な五大陸の性感帯を、あざとく支配している。

で、だ。

「254.8bpmの7beatである君は、ミネラルウォータの母と木工用ボンドの父のアイノコであるから、
まず皆に謝れ。」




 ●いつ『情緒』


都会の木漏れ日に撃たれぬように気を付けて横断歩道を渡りました。
どうしても愛せないならば通り過ぎた方がいいし、
通り過ぎる事が出来ないならば愛する。
所詮それだけのことでした。

「何故私たちだけがこんな目に遭わなければいけないのでしょうか」
「全ての意味付けを止めなさい」

御意。
脂肪メトロの全機関が停止する、数千万人が足止めを喰らう、
低所得者によるストライキが起こる、商店街や婦女が襲われる、
「どうせ金か女か、物欲の話しかしないんだから」
ニップちょっぱりバナアナマン東小鬼ヤポスケウェノムパンパン
礼儀正しき日出ずる黄金のジッパンガー万歳!

愛する僕らは通り過ぎる事が出来ないだけなのに、
木漏れ日に蜂の巣にされて熊さんの云う事にゃお嬢さんの名はスタコ・ラサッサ。

「ミス・スタコ、漢字ではどう書くの?」
「失礼、ミズで御座います。”酢蛸”から、濁点を取って下さいまし」

その晩、
僕は酢蛸ラサッサ嬢と、乱数サイに乗って駆け落ちする事にした。




 ●むう『好く燃える終点』


労働の滝
電球に棲むの蟻の群れ
白旗をインヂゴ染料に浸した常識の細波
移動式遊園地に運ばれる無数の生命
その、
S「貴方の憂鬱の全て、腸に詰めて飛ばしてあげる」
M「左様ですか。いやらしい音出したら殺す」

対談の後、甘い罠の親戚一同を集めて、SMお互いの葬式をしめやかに、明日


そして、誰の目も見ずに過ごす一日の中で何度も
僕は向かいのビルの屋上から飛び降りた。
僕は青信号の交差点に飛び出した。
僕は作業着を着た二人組みの魔王に針金で出来たマングローブの森へと連れて行かれた。
それは、
自分以外の全ての人間が成功している世界、
あるいは、
失敗している全ての人間が自分である世界、
想像上の、
どちらでも同じ。




 ●なな『無』


僕は酢蛸ラサッサ嬢と254.8bpmの7beatで首を絞め合って、
炎上する√マングローブの中でひたすら正しくなる明日未明、
ピンク色の海に奴隷蟻関数を刻んだら猥ら沈むガソリン。
勿論、オッカム社製の剃刀で。燃えるヤエヤマヒルギ笑う。


自由詩 √マングローブに刻まれた”我是一隻妓” 〜僕と酢蛸の七拍子〜 Copyright 人間 2006-10-17 02:44:24
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