空腹
たもつ



弁当を開けると
中に海が広がっている
故郷の海のように
凪いできれいだった
朝の静かな台所で
君がどんなふうにこれを作ったのか
想像しようとしても
後姿しか目に浮かばない
帰れない場所があるわけではなく
帰れない時があるのだ、と
とてもありふれた
僕らの空腹がある




自由詩 空腹 Copyright たもつ 2006-10-14 21:59:18
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