停電の夜
未有花

ある日我が家が突然停電になった
何の前触れもなくいきなり真っ暗闇に
わあ どうしよう!
とりあえず懐中電灯をつけてその場をしのぐことに

暗闇というのはなんとなく落ち着かない
早く電気がつかないかなあと思っていると
何やらぼわあっと窓の外が明るいことに気付く

カーテンを開けて外を見てみると
まんまるいお月様が空に浮かんでいた
そうかあ そういえば今日は満月だったね
それにしても月夜ってこんなに明るかったっけ
せっかくなので懐中電灯を消して
停電が直るまで月見をすることにした

月の光に照らされた部屋はどことなくいつもと違う
たぶんこんなことがなければ月見なんてしなかったと思う
昔は電気なんてなかったから
月の光はとても貴重なものだったろう
明るさに慣れた私たちには考えられないことだ

満月にゆっくりと雲が流れて行く
一時の風流な時間
やがて停電の終わりとともに
つかの間の月見に終止符を打つ


自由詩 停電の夜 Copyright 未有花 2006-10-13 09:52:29
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