永遠ということ
恋月 ぴの

本当の暗闇と出会う
それって
なかなか難しい
ひとつひとつの灯火を消しても
寝付けぬ夜に何処より話し声が漏れて
この街の闇は仄かに明るい
本当の暗闇
それは遠い日の感触
胎内にいたときにでも
わたしはそいつと出会ったのかな
でも
母の身体より受け継いだ血縁に導かれ
最初に出会ったのは
外界に溢れる光線のざわめき
本当の暗闇
手探りで何かを掴もうとしても
掴めなかった
それは感覚だけが頼りで
時の流れさえも見失ってしまう
わたしの暮らすこの街で
満天の星星と出会うのが難しいように
本当の暗闇と出会うのは難しい
鋭敏となった五感で掴むもの
この耳を澄ませば聞こえてくる
聞こえてくる
遠い日に出会った
本当の暗闇が奏でるノクターン
甘く切なく
それでいて
全ての止んだ五線譜の彼方へ




自由詩 永遠ということ Copyright 恋月 ぴの 2006-10-11 23:50:20
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日記のようなことばたち