赤い首輪が外れなくって
士狼(銀)

僕は犬です、わんわん
しがない犬です
一度主人を失いました
僕はもう仔犬ではなかったから

僕は犬です、わんわん
しがない犬です
先日野良の一員になり
金属に怯えるようになりました

僕は犬です、わんわん
しがない犬です
ただ愛して欲しかっただけ
小さな公園で小さな女の子が
小さく手を振ってくれたから
抱いて欲しくて寄っただけ
撫でて欲しくて舐めただけ

冷たい金網の中で
大人しく順番を待つ
刻一刻と迫る死刑執行に
檻の中で暴れて叫ぶ友
僕らが何をしたの
僕らが何を傷つけたの
生きているだけで問題なの
先に裏切ったのは
僕らじゃない

仲間の遠吠えが哀しくて
隅に寄って
頭を垂れて、目を瞑り、耳を塞いで
それでも赤い首輪は外れなくて

外れなくって


自由詩 赤い首輪が外れなくって Copyright 士狼(銀) 2006-10-09 12:32:27
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