わすれていくこと
吉田ぐんじょう
日を追う毎に
わたしの頭は
軽くなってゆくようです
わすれていくのだろうか
こんなにも容易く
赤信号が青に変わり
裏路地は繁華街になり
たった今あったものが
次々と消えてゆき
世界はずれてゆきます
一秒ごとに一ミリ
或いはもっと早く
さっきよりも
ずっと軽くなった頭で
くらくらっと歩いてみると
流れ星が流れました
お願い事をしようと
思いました
だけど
わすれてしまっていました
お願い事すらも
わたしは煙草を一本
くわえます
何年経っても
煙草の吸い方だけは
わすれないような気がしました