めざましとけい
吉田ぐんじょう

目覚まし時計の電池を抜いて
針を止めてはみたものの
時間が止まるわけでは無くて
時間が戻るわけでも無くて
ぴかぴか光る文字盤を見ている
わたしはきっと
何かを後悔してるのかもしれない

送信釦を押すと
一分後には着信する
そういう世の中の仕組みや
自動的に修復されるエラーや
電柱に貼られた性欲等
そういう単純なものに
憧れているのかも知れない

柱時計が十二時を打った
明日は早起きをしなければならないのだった
わたしは
電池を元通り入れて
こくこく動く秒針を見ながら

時間を少しだけ早めに
合わせてはみたものの
早く死ねるわけではなくて
長く生きられるわけでもなくて
解らなきゃいけない年齢だと思った
もう
そろそろ

やっぱり
絶対に




自由詩 めざましとけい Copyright 吉田ぐんじょう 2006-10-07 03:45:29
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