牛丼屋
山崎 風雅


 人生という一つの時
 さまざまに彩られし人生

 怪物に会うこともある
 仏にあうこともある

 こんな真夜中に寝られないで
 カチカチ音を立てて
 不埒な詩を書く者もいる

 真夜中の牛丼屋
 タクシーの運ちゃん
 求人誌を見ながら食事するお兄ちゃん
 仲間が集って談笑する若者

 独特の安心感が満ちる

 僕は独り灯りに集る虫のように
 牛丼屋に吸い込まれる

 注文してすぐ出てくる牛丼
 いい感じ

 昼間では味わえない
 曼荼羅の一部になった気分

 明日も早いのにね
 目が冴えてしまうんだよ

 コマーシャルでは
 最大の勝利は自分に勝つことだって
 
 なんのために生きてるんだろうね
 学校で教えてくれたらいいのにね

 数字ばかりがやけに目がつく現代
 浮世の戯れ
 自分の弱さを味わって食べる牛丼



 


自由詩 牛丼屋 Copyright 山崎 風雅 2006-10-05 03:02:44
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