気まぐれ猫
杉菜 晃

 

大きな肉の塊をくすねてきて
食べ飽き まだ半分以上も残つてゐるとき
犬なら 空地へ引きずつて行つて
埋めておくが


猫は そこに放り出しておくだらう
無関心かといふと さうでもなく
肉塊の近くを ゆつたりと往つたり来たりして 
監視の防波堤を築くのだ
一見無造作に しかし
十全な支配の下に置くのだ


この気紛れな生き物を私はおそれる





自由詩 気まぐれ猫 Copyright 杉菜 晃 2006-09-30 18:20:39
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