ロジック犯
ブルース瀬戸内

お前が犯ったんじゃないのか。
犯行時刻の午前3時45分頃、
どこで何をしていた?
何、ここ以外のどこかだと。
そんなものがアリバイになると思っているのか。

犯ったんじゃないのか。
お前が犯ったんじゃないのか。
犯行現場に残された美意識は
明らかにお前のものじゃないか。
そこから漂う倫理には
価値観が欠落しているじゃないか。
目論みどおりなのか、
それとも時代に圧迫されてのことなのか、
どうなんだ。
責任を感じないのか。

何故、逃げる。
一体どこへ逃げるというんだ。
逃げるという行為が意味を持つ世界なのか、ここは。

どうなんだ。
お前が犯ったんじゃないのか。
ここに犯行に使われたであろう凶器がある。
類を見ない鋭さを持つ理性とロジックは
その鋭さを抑止力として
あらゆる感情の隠蔽に成功している。
私たちのプライオリティーを旧弊に戻す気か。
またぞろロジックに全てを埋没させる気か。
それが動機なのか。

で、それで、
お前が犯ったんじゃないのか。
この凶器で世界から感情を一つ奪い去ったのは
お前じゃないのか。
そのジャンパーについているのは
捜索中の感情の欠片じゃないのか。

まあいい。もうちょっとの気もするが
続きは明日だ。今日は休め。俺も疲れた。
ひとまず凶器を返す。
頭を整理しておけ。では。


自由詩 ロジック犯 Copyright ブルース瀬戸内 2006-09-29 08:41:13
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