孤影の鳥
こしごえ
ある季節の終りに
風鈴が
まぶしくゆれていた
わたしは 風へ帰れるだろうか
いつの日か
空で回旋する球形の庭園に
立ちよることが出来るのか
ゆれることと立ち尽すこと
そして、歩いた先へ昇り漂うこと
卵の響く距離
その手をはなしてしまった日から
青ざめた風
に高く透けていく青空から
おちて来る
羽根の影のあわくうすいあえぎ
ゆれることと
清んでいきながら壊れるだろう空をささえているのは尊厳
わたしの肺に住む鳥
風の骨格をして涙の強度で
羽ばたいて
羽ばたいて青青と繁り
黒曜石が暮れていく地平へ
息をつぐ
それから(最後の朝は終らず)
私という時空を経過していき
ある季節を
始める