ひかり あそび
木立 悟




朝の橋に降りつもる水
最初にわたるものを待っている
粒の大きさの万華鏡
手のひらの内からこぼれつづける


指を伝う細い声
細く細くやわらかな青
微笑んではすりぬける
数え切れないあやとりの羽


晴れの底で手を振るひと
言葉のように
言葉を持たないうたのように
ふるえは重なり 地に触れる


見えなくなるのに見えはじめ
夜になるもの なりつづけるもの
空の前に立ちつくすもの
空に染まらずうたうもの


筒を切る音 放たれる色
終わりを知らない水の輪の色
ひとつ はたりと
紙の陽を折る


まばたきのたびに
花は現われ花は消え
水を現われ消えるものに変え
互いの手をとり踊りつづける


日暮れの箱にしまわれる
小さな色と小さな火
朝のまぶしさ とりとめのなさ
手のひらに触れたしずくの片方


誰もいない部屋のなか
幼い浮力は正座して
紙の陽 はたり
眠りのようにとこを照らす













自由詩 ひかり あそび Copyright 木立 悟 2006-09-26 12:20:21
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