相聞、漕ぎ出せば海
たりぽん(大理 奔)


あなたのもとに
つながっているだろうかと
また海に来てしまった
彼方の水平に
上昇気流の痕跡が偏西風に流れて
波間に姿も映さず高く飛ぶ
渡る鳥、それよりもずっと星のそばで
焼かれる今日

  うち寄せては問いにこたえる
  さざ波の声に両の手をひたして
  さかなたちの世界の温度を知ったなら

彼方の水平が翳っているのは
夏の名残の落とした埋みで
さらに黒い影が横切ったのは
渡る鳥なのか、旅立つ魚影なのか
それも知らず

ひたすら
つながっているか、と
問い続けるわたしを
あざ笑うように
中途半端な風速が
いたずらに背中を押すのです




自由詩 相聞、漕ぎ出せば海 Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-09-24 20:50:04
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