相聞、漕ぎ出せば海
たりぽん(大理 奔)
あなたのもとに
つながっているだろうかと
また海に来てしまった
彼方の水平に
上昇気流の痕跡が偏西風に流れて
波間に姿も映さず高く飛ぶ
渡る鳥、それよりもずっと星のそばで
焼かれる今日
うち寄せては問いにこたえる
さざ波の声に両の手をひたして
さかなたちの世界の温度を知ったなら
彼方の水平が翳っているのは
夏の名残の落とした埋みで
さらに黒い影が横切ったのは
渡る鳥なのか、旅立つ魚影なのか
それも知らず
ひたすら
つながっているか、と
問い続けるわたしを
あざ笑うように
中途半端な風速が
いたずらに背中を押すのです