明日を生き抜くための魔法
ぽえむ君

何もできなかった
昨日の自分が悔しくて
今日も努力はしたけれど
結局は昨日と同じまま

何もできなかった
昨日の自分が悲しくて
今日も必死になったけれど
結局は昨日と変わらない

真夜中に
霧雨が降る中を
辛くて
財布も携帯電話も持たずに
どこともなしに彷徨い歩く

ぼんやりとしたネオンの光
そこは小さな古本屋
不思議と吸い込まれ
何を探すわけでもなく
背表紙のタイトルを追いかける

「明日を生き抜くための魔法」

目に入ってしまったタイトルが
妙に気になって
手に取り適当にページをめくる

昨日の自分よりも
今日の自分が輝ける
その魔法は


次のページを開けようとすると
コホンという人の声
店の主の老人が指を出し
その先には
「立ち読みお断り」

肝心なところを読めずに
店を立ち去った

気になりながらも家に戻り
体力の疲れなのか
いつしかまどろむ

昼になり
昨日の古本屋で
今度はあの本を買おうと思い
その道に向かったけれど
探せど探せど
その店は見つからない

今でも時折り
その店を
いや
その魔法を探している

もしかしたら
こうやって探すことが
もうその魔力に
かかっているのかもしれない


自由詩 明日を生き抜くための魔法 Copyright ぽえむ君 2006-09-20 13:15:08
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