全停止状態という躍動感だった
結城 森士

太陽がセパレートコースを直角に照らして
スタートラインで静かに永久を刻む
その時大気は止まった
           (筈だった)
直線の向こうに見えたジャージ姿の教師
あの日のゴールは今は見えない

3階の教室の窓から深緑に吸い込まれそう
制服の紺と白い手が伸びてきて
僕 (の後ろ) の男子に笑いかける
 そうやって何も考えないようにして
・・・砂ぼこりが舞うのを見ていた
      あの頃それが全てで
      それで良いと思っていた

放心は黒板を通り抜けて
悟ったはずの永遠の方程式は
今の僕には見えなくって
廊下で見かけた女の子に生えていた羽は
今は見えなくなっていて
・・・あの日何もかもが止まって
 全てが躍動していた
 そんな空気を見ていた

(目を開ける
 と教室は
   白い光)は
   打ち消された          

あの日鏡に映っていた少年
今の僕は永久など見えない



自由詩 全停止状態という躍動感だった Copyright 結城 森士 2006-09-16 12:33:34
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