ホラーでパジャマパーティー
きりえしふみ

白馬に乗っかった王子様に
円らな瞳のテディベア
女の子は(誰でも) メルヘンがお好き
だから毎晩頭の中の絵本を紐とく
透けた羽を持つ仮想の恋人と
だから今宵も 夢の中にて好き放題
だから今宵も 夢想の王子様に一礼
愉しくランデブー

小人になって 砂糖菓子のティアラを被るの
お菓子の国にて
大人びた味のブルーハワイで出来た小川を 下っていくの
(言うまでもなく王子様が漕ぐ金の小船で)
スパンコールを沢山縫い付けたよな
星月夜のカーテンの下
はためくベルベットの夜の裾
女の子は飛び切りのお洒落して
孤島のパーティーへと向かう 夢を見る
言うまでもなく 王子様のエスコートで

 女の子は誰でも
 そんな夢を見る
 ケーキを食むのと同じ
 夢見る仕種で
 夢を食べる 夢を浮かべる

だから お伽の国はいつまでも 太っちょだ
お菓子に夢中の女の子の 両頬のように
膨らんで 夢想の空をぷかぷか漂う雲になる
いや、太り過ぎたバルーンになって

 ある晩弾ける!

そうして一人ぽっち
夢から取り残された女の子は
無惨にも
夢から 太っ腹の置き土産のみ 残された状況に
憐れ 夢のないオバサンになるより 他はなかった

©shifumi_kirye 2006/09/12


自由詩 ホラーでパジャマパーティー Copyright きりえしふみ 2006-09-13 22:10:26
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